医療法人 好輝会 梶本クリニック

学術報告

2025.06.27-29
第70回 日本透析医学会学術集会
日機装社製アーチループ型回路による医療廃棄物処理コストの削減

【目的】
日機装製コンソール100NXから200Siへの機種変更に伴い、アーチループ型の回路が使用可能となった。回路径細化、動脈チャンバーレス設計により医療廃棄物処理コスト削減なるか調査した。

【方法】
機種変更の前後12ヶ月の患者数とコストを確認し、一人当たり費用からコストの増減を調査する。

【結果】
アーチループ型回路の医療廃棄物処理コスト削減効果が有意に示された。

【考察】
回路径細化、動脈チャンバーレス設計により体積が減少した影響だけでなく、スタッフが使用後のファイバーと回路を綺麗にまとめやすくなり、その結果箱に詰める数が増加したこともコスト軽減の要因と考える。

【結論】
日機装アーチループ型への変更により、医療廃棄物処理コストは削減できる。

【まとめ】
当院が契約している廃棄業者は廃棄段ボール数での価格計算となる。廃棄物重量での価格計算となる業者の場合では、詰め方に影響されず安定的に費用削減効果は発生すると考える。

(令和7年6月27日、於:堂島リバーフォーラム、大阪)


高齢透析患者の家族の希望により透析継続を中止した1症例

【目的】
透析患者の高齢化が進んでおり、当院の平均年齢も75.8歳と全国平均を上回る。今回、高齢透析患者家族の精神的負担の増大に伴い、透析中断を希望する症例を経験した。在宅から施設へ介護の場が移行され、永眠に至るまでの経緯を振り返り、今後の連携強化に繋げる。

【症例】
89歳女性、透析歴3.5年。当院転入時より徐々にADL低下。1年半前の入院を契機に、退院後はサービス付き高齢者向け住宅へ入所することとなった。入所後も誤嚥性肺炎や尿路感染にて入退院を繰り返し、息子夫婦への精神的負担が増大した。本人の身体的負担も考慮し、施設での看取りを強く希望され、透析見合わせとなり、3週間後に施設にて永眠された。

【考察】
透析自体は継続可能な病態ではあったが、劇的な回復も期待できず、透析を継続することが患者本人への負担になるという考えが顕著な症例であった。早期より患者・家族の意思を確認し、在宅医療・介護・施設介入を提供できる体制を整えることが重要と思われた。

(令和7年6月28日、於:リーガロイヤルホテル大阪、大阪)


当院におけるVA管理の実態について

【目的】
当院では2020年より臨床工学技士を中心としてVAエコー検査を定期的に施行してきた。効率的にVA管理を行う為に、当院では2024年より機能評価による管理の割合を増やすよう変更した。当院での取組みとその結果を検証し、効率的なVA管理を模索したので発表する。

【方法】
当院で2021~2023年までの3年間に施行したVAエコー検査1823件(年間平均607.7件、年間平均機能評価検査割合:10.9%)と、2024年に施行した409件(機能評価検査割合:38.9%)に対する治療率と完全閉塞症例率を分析した。

【対象】
対象は2021~2023年に在籍した160例(前群)と2024年に在籍した198例(後群)

【結果】
前群と後群で治療率と完全閉塞症例率に乖離はなかった。

【結論】
機能評価だけでは、分岐血管の閉塞のサルベージや深部静脈への流出による疑似的な機能維持などの問題点はあるが、一次的な問題提起としての検査意義はあると思われる。

(令和7年6月28日、於:堂島リバーフォーラム、大阪)

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